身長やテストの点数、体重のように自然にばらつくデータをたくさん集めてグラフにすると、驚くことに似た形が何度も現れます。値は平均の近くにたくさん集まり、平均から離れるほど少なくなって、なめらかな釣鐘の形を描きます。この曲線を正規分布といいます。
正規分布の形は、たった2つの数で決まります。平均μは曲線の中心がどこにあるかを、標準偏差σは曲線がどれくらい広がっているかを決めます。σが小さいと値が平均の近くにぎゅっと集まるので曲線は高く細くなり、σが大きいと値が広く散らばるので曲線は低く平たくなります。平均μを変えても曲線の形は変わらず、全体が左右に移動するだけです。
正規分布には、とても便利なルールがひとつあります。全体の約68%が平均から標準偏差1つ分(±1σ)以内に、約95%が±2σ以内に、約99.7%が±3σ以内に入るというものです。この68-95-99.7の法則は、平均や標準偏差がいくつであっても、つまりどんな正規分布でも必ず成り立つ、すばらしい性質です。
ところが、平均や標準偏差が違う分布どうしでは、点数そのものだけで2つの値を比べるのは難しいものです。たとえば、平均70点・標準偏差10点の数学のテストでの85点と、平均60点・標準偏差15点の国語のテストでの78点では、相対的にどちらがよい成績でしょうか。ここで登場するのが標準得点(z値)です。z = (x − μ) / σで計算し、この値は「自分の点数が平均から標準偏差何個分離れているか」を表します。
上の例で計算すると、数学はz = (85−70)/10 = 1.5、国語はz = (78−60)/15 = 1.2です。数学のほうがz値が大きく、平均から相対的に遠い位置にあるので、2つのテストのうち数学のほうが相対的によい成績だといえます。
正規分布は二項分布とも深くつながっています。試行回数nがとても大きくなると、二項分布のギザギザした棒グラフは、なめらかな釣鐘の形にどんどん近づいていきます。「二項分布ラボ」でnを大きくすると、その変化を直接見ることができます。アクティビティページでは、平均と標準偏差をスライダーで変えて曲線の形の変化を確かめられるほか、標準得点のタブでは自分で点数を入力して、z値とその意味を確かめることもできます。