正方形の紙いっぱいに円を描きます。それから目をつぶって、正方形の中のどこでもいいので、でたらめに点を打っていきます。打ち続けると、円の中に入る点もあれば、円の外の四すみに入る点もあります。驚いたことに、このようにまったくランダムに点を打つだけで、円周率(π)の値をかなり正確に見積もることができるのです。計算ではなく確率を使ってπを求めるこの方法を、モンテカルロ法といいます。

しくみのカギは面積の比です。1辺が2の正方形いっぱいに半径1の円を描くと、正方形の面積は2×2=4、円の面積はπ×1²=πです。つまり円の面積 ÷ 正方形の面積 = π/4が成り立ちます。ここで、正方形の中にまったくかたよりなく(一様に)ランダムに点を打つとすると、1つの点が円の中に入る確率も、この面積比π/4に近づくはずです。

全体に対する内側(紫)の割合 ≈ π/4
π ≈ 4 ×(円の中に入った点の数 ÷ 全体の点の数)

そこで式を逆にするとπ ≈ 4 ×(円の中の点の数 ÷ 全体の点の数)となります。点が100個くらいだと、見積もりは3.0になったり3.3になったりとばらつきますが、数千、数万と増やしていくと、円の中に入る割合は本当の確率π/4にどんどん近づき、見積もったπの値も3.14159…に近づいていきます。「何度もくり返せば本当の確率に近づく」という大数の法則が、目の前で起きているのです。

ただし、モンテカルロ法には弱点もあります。なかなか正確な値に近づかないことです。誤差を10分の1にするには、点の数を100倍に増やさなければなりません(これはよく「1/√nの法則」と呼ばれます)。そのため、πを小数点以下何けたまでも正確に知りたいなら、円周率を求めるほかの速い方法(円周を直径で割る方法や、無限級数を使う方法など)のほうがずっと効率的です。

それでもモンテカルロ法がとても大切なのは、正確な式を立てるのが難しい複雑な問題でこそ真価を発揮するからです。原子炉の中で中性子がどう飛び回るか、複雑な金融商品の価格がこれからどう変わるか、明日の天気はどうなるか。どれも正確な式で表すのはほぼ不可能です。こうした場面では、「ものすごくたくさんの場合をランダムにシミュレーションして、結果の割合を数える」モンテカルロ法が、事実上ただひとつの現実的な解決策になります。

アクティビティのページでは、ボタンひとつで正方形の中に100個や1,000個の点を打てます。点が増えるにつれて、見積もったπの値が本当のπ(3.14159…)にどんどん近づいていく様子を、グラフで自分の目で確かめられます。点が少ないうちは大きくばらついていた値が、だんだん落ち着いていくのを見ると、確率や統計がなぜ強力な道具なのかがずっと実感できます。