ルールはたった2行で書けます。数が偶数なら2で割り、奇数なら3倍して1をたす。出てきた新しい数にも、同じルールをくり返し当てはめます。たとえば3から始めると、3→10→5→16→8→4→2→1となり、7ステップで1に着きます。1937年にドイツの数学者ローター・コラッツが初めて提示したこの問題は、小学生でも理解できるほどルールが単純なことで特に有名です。
コラッツ予想とは、「どんな自然数から始めても、このルールをくり返せば最後には必ず1にたどり着く」という主張です。コンピューターで2⁶⁸(約3×10²⁰)より小さい数はすべて調べられていて、例外はひとつも見つかっていません。ただし大事なのは、それが「これまで調べた範囲では正しい」という意味にすぎないことです。すべての自然数で必ず成り立つことを証明できた人は、まだいません。コラッツ予想は、今も数学の未解決問題なのです。
ルールがこんなに単純なのに、なぜまだ解けていないのでしょうか。それは、数が偶数か奇数かによってルールの働き方がまったく違い、数が大きくなったり小さくなったりするのを同時に扱えるよい数学の理論がないからです。小さな数だから簡単、というわけでもありません。27はたった2けたの数なのに、1にたどり着くまで111ステップもかかり、途中で9,232まで上がります。ルールは決まっているのに、実際にたどる道すじはまるでランダムのように上下するのです。
ハンガリーの有名な数学者ポール・エルデシュは、この問題について「数学はまだこういう問題を扱う準備ができていない」とまで言いました。賞金もかけられているため、今も世界中の数学者やアマチュアが挑戦し続けています。「いつか1以外のループに入る例外が見つかるかもしれない」と考える数学者もいれば、「いずれ証明されるだろう」と考える数学者もいますが、どちらの側にもまだはっきりした答えはありません。
私たちのアクティビティページでは、スタートの数を選んでスライダーで計算の過程を1ステップずつたどりながら、偶数(青)と奇数(コーラル)が入れかわる様子を自分の目で確かめられます。また、1から30までのすべての数について、1に着くまでのステップ数と途中の最大値をグラフで比べ、27のような目立つ数を自分で見つけることもできます。