ひまわりの種のぎっしりした並び方や、松ぼっくりのかさの並び方をよく見ると、右回りのらせんの数と左回りのらせんの数が、決まった数にぴたりと一致していることを知っていますか?その数とは、1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21…と続くフィボナッチ数列です。

フィボナッチ数列をつくるルールはとてもシンプルです。前の2つの数をたすと、次の数になります。1たす1で2、1たす2で3、2たす3で5というように、どこまでも続いていきます。この数列がこれほど有名なのは、こんなに単純なルールから、自然界に見られる不思議な模様が生まれるからです。

フィボナッチ数列のとなり合う2つの数の比を計算し続けると、その値は1.618…という特別な数にどんどん近づいていきます。この数は黄金比と呼ばれ、人がもっとも美しいと感じる比率として知られています。パルテノン神殿の柱の比率や、名刺・クレジットカードの縦横比、さらには有名な絵画の構図にも黄金比が使われている、という話を聞いたことがあるかもしれません。

フィボナッチ数列を正方形で表すと、美しいらせんができあがります。1, 1, 2, 3, 5, 8の大きさの正方形を並べ、それぞれの中に次へつながる四分円の弧を描いていくと、渦を巻くらせんが自然に現れます。このらせんはオウムガイの殻の断面や台風の雲の形、渦巻銀河の腕とよく似ていて、そのため「自然の数学」と呼ばれることもあります。

1, 1, 2, 3, 5, 8の正方形を並べ、それぞれに四分円を描くとらせんが現れます

植物にフィボナッチ数列がよく現れるのには、ちゃんとした科学的な理由があるという仮説もあります。植物が茎のまわりに葉をつけていくとき、となり合う葉はおたがいの日光をなるべくさえぎらないよう、ある決まった角度ずつずれて生えます。この角度が、実は黄金比と深く関係しているのです。その結果、葉や種が重なり合わずにらせん状にぎっしり並ぶ、効率のよい構造ができるというわけです。もちろん植物によって例外はたくさんあり、まだ完全には解明されていない部分もありますが、自然が生き残るために数学的に最適な並び方を自分で見つけ出しているという話は、子どもの好奇心をかき立てるには十分でしょう。最近では、プログラミングを初めて学ぶときに「再帰関数」の考え方を説明する定番の例としてもフィボナッチ数列が使われています。各項が前の2つの項をくり返し参照するこの数列のしくみが、再帰の考え方とぴったり重なるからです。

数字だけで学ぶと少し退屈に感じるかもしれませんが、実際の自然の写真と一緒にらせんを描いてみると、子どもたちの興味はぐっと高まります。私たちのアクティビティページでは、スライダーで項の数を変えると、正方形が1つずつ加わってらせんが大きくなっていく様子をすぐに見ることができます。ひとつのシンプルなルールが、こんなに美しい絵につながることをぜひ確かめてみてください。らせんを描き終えたら、ひまわりや松ぼっくり、巻き貝の写真と並べて比べてみるのもおすすめです。画面の中の形が本物の自然とそっくりだと自分の目で確かめた瞬間、数学が教科書の外でも生きていることを実感できるはずです。