1から100までの数を並べて、2の倍数をすべて消し、次に3の倍数をすべて消し、とこれを続けていくと、最後まで残る数があります。それが「素数」です。この方法には特別な名前があり、考え出した古代ギリシャの数学者の名前をとって「エラトステネスのふるい」と呼ばれています。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
1と倍数をすべて消すと、赤いマス(素数)だけが残ります。2、3、5、7、11、13、17、19、23、29

素数とは、2、3、5、7、11のように、1とその数自身でしか割り切れない数です。初めて習うとき、子どもたちはよく「どうして1は素数じゃないの?」と聞きます。定義では、素数は約数をちょうど2個(1とその数自身)もたなければなりませんが、1の約数は1個だけなので素数から外されます。ここはつまずきやすいところなので、立ち止まってしっかり確認しておく価値があります。

エラトステネスのふるいのおもしろさは、規則を自分の目で発見できることです。100マスの表で2の倍数に色をぬると規則正しい縦の列があらわれ、3の倍数に色をぬるとななめの模様が見えてきます。こうした目に見える模様をながめるうちに、子どもたちは倍数と約数の関係を自然と感覚的につかんでいきます。

素数はただの数学の概念ではなく、私たちがふだん使っているセキュリティ技術とも深く結びついています。ネットバンキングやネットショッピングを支える暗号の多くは、とても大きな2つの素数をかけた数を、もとの2つの素数に分解するのが非常に難しいという事実を利用しています。つまり、小学生が学ぶ素数という考え方は、現代のインターネットの安全を支える中心的な原理でもあるのです。

素数を探し続けていると、おもしろい疑問が次々にわいてきます。素数は限りなく続くのでしょうか?答えはイエスです。2000年以上前に、ギリシャの数学者ユークリッドが、素数が無限にあることをすでに証明しています。また、3と5、11と13のように、差がちょうど2の素数の組は「双子素数」と呼ばれます。数がどれだけ大きくなっても双子素数があらわれ続けるのかどうかは、数学者たちがまだ証明も反証もできていない未解決問題です。いまも世界中の数学者とコンピューターが協力して、何千万桁もある巨大な素数を探すプロジェクトが進められています。100マスの表で素数を探すという簡単な活動が、世界中の研究者がいまも取り組んでいる生きた数学の問題につながっていると知れば、子どもたちの素数の見方はがらりと変わるかもしれません。

実際に手を動かす活動としては、100マスの表を印刷して倍数を手で消していく方法もよいのですが、数が大きくなるほど消すものが増えて、どんどん時間がかかってしまうのが難点です。体験ページでは、この過程をアニメーションですばやく見せてくれるうえ、好きな数をクリックしてその倍数を一度に消すこともできます。どの数の倍数が先に消えるのか、最後にどの数が素数として残るのかがひと目でわかります。100までの素数を一緒に全部見つけたら、「この中でいちばん大きい素数はどれ?」「97の次の素数はどこにあらわれる?」といった問いに、お子さんが自分で表を調べて答えてみると、ただの暗記よりずっと長く残る感覚が身につきます。表全体に色をぬって残った素数を数え、100までに素数がいくつあるかを予想してから答え合わせをするのも、子どもたちが楽しめるまとめの活動です。